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名張育成園ニュース
掲載日 2009年2月24日

名張育成園・発達支援グループ(児童デイサービスどれみ、なちゅ、ゆぅら、児童寮、ぱれっと)では昨年度より、名張育成園特別事業顧問の久保義和先生を講師に迎え、発達支援に関わる地域の方を対象に、発達障害基礎講座を開講しています。

最近、発達支援に関わる講座や研修において、支援・指導方法など、“How to”を求める傾向にある中、本講座については、子どもたちへ支援・指導するための理念や考え方など、基礎的な部分を大切にしたいと考えています。

発達支援に関わる私たちには子どもの特性を知り、子どもを『見る』力を持つことが大切であること、そして『子どもの不器用さをさらさない』という久保先生の、この一言に込められた信念をもとに、子どものよりよい育ちを守り、私たちにできることを高め、積み重ねていくために本講座を開設しました。

受講生の多くは学校や幼稚園の先生、保育所の保育士が多く昨年度は60名の受講生が発達支援に関わる際の基礎部分を学びました。

20年度は昨年度の久保先生のご指導のもと、さらにサポート力を高めていくために、具体的な支援・指導方法を受講生と共に学んでいます。

12月「発達障害がある子どもへ何を求めるべきか~私たちの役割とは~」

今回の講座については、2年に渡り開催してきた発達障害基礎講座の総括を久保先生にして頂きました。

日々、子ども達と付き合っていると、様々な不器用さや発達の偏りがありながら、生活や社会の中で努力をし、健気に頑張っている様子が見られます。時々、その努力は周囲から見れば困った行動に見える時もあります。また、私たち自身も、子どもが見せる行為、行動に目を奪われ、子どもの姿が見えなくなることや迷うことも多々あります。しかし、発達障害児を支援するということ、それは“特別なこと”ではなく、目の前にいる子どもの“生き方”を尊重する中から生まれてくるものだと感じました。
発達障害基礎講座での久保先生のお話は、子ども達の育ちや生き方を守るという子ども達への温かい眼差しと支援者としての自覚、自らの役割を一貫して私たちに伝えて頂いていたのだと思います。
そして、2年間の総括として、5つの言葉を頂きました。

私たちの出来ること。
1.子ども達の自ら発達する「力」への絶対的な信頼感を「持つ」こと
2.彼らが求めるものに、時期に「応じた」やり方で、真摯に「応える」こと
3.激しい行為・行動に目を奪われず、「何が本質か」をいつも「考える」こと
4.自らの「役割」を忠実に「果たす」こと
5.発達障害児を支援する「人の輪」を広げる「努力」をすること
6.疲弊しやすい「母親や家族」を「支える」こと

久保先生に教えて頂いた、子どもに対する「思い」と自らの成すべき私たちの「役割」を持って、子ども達に向き合うために、これからも学んでいきたいと考えています。

12月「自閉症児への支援・指導③ ~精神科的な問題が顕著な子~」

今回の講座では、自閉症児の中でも精神科的な問題が見られる子どもへの基本的な支援、指導の視点について学びました。

まず、自閉症は認知障害や知的障害のみで捉えられているかも知れませんが、自閉症の基本は精神発達であることを踏まえなければなりません。精神科的な問題は思春期の混乱の中で見られることも多いのですが、幼児期早期から精神科的な問題の特徴を持っている子どもたちもいます。その子どもたちを取り巻く外部環境やホルモン系などの内部環境の変化によって、元々持っていた精神的な脆弱さや問題をさらに強調してしまうこともあります。
そのような子どもに対する支援や指導についての原則は①身体的な脆弱さへの配慮②環境の整備、特に子どもを取り巻く関係者の気持ちを安定させることが大切③子ども自身が持つ不安の軽減④子どもに「人として生きていく」ソーシャルスキルを教えること、と久保先生は言われていました。その中でも、私たちが大切にしなければならないことは、子ども自身が持つ不安に絶えず、注意を払い、我慢強く、かつ根気強く、そして支持的に付き合うこと、そして、人間関係の中でソーシャルスキルを教えることだと教えて頂きました。
日々、子どもたちと向き合う私たちは、子どもは“人”の中で健康に育つことを忘れてはいけないと感じました。

11月「自閉症児への支援・指導② ~カナータイプと呼ばれる子~」

今回の講座では、自閉症児の中でも“カナータイプ”と呼ばれる子どもへの基本的な支援、指導の視点について学びました。
最近では自閉症の範囲が広がり、カナーの理論(レオ・カナー/児童精神)で説明できる子どもが少数にはなったと言われていま。しかし、全くいなくなってしまった訳ではないことを踏まえ、カナーの初期論文と久保先生の臨床経験から、具体的な事例をもとに学びました。
自閉症の子どもに対する支援や指導を考える前に『発達する障害』であることを大切な視点として持たなければなりません。カナータイプの子ども、特に乳児期においては、
①人への働きかけの弱さ②状況理解の難しさ③環境の中で起きる断片的な事柄をまとめられない④環境の変化での弱さ、が見られますが、カナーの論文からヒントを探すと、自閉症の子どもたちは「特異的な生き方」をする子どもたちではありますが、人の特性を考えた付き合い方、つまり子どもの「生き方」に配慮した「子育て」をすれば、子どもの成長を促すことが出来るということが言えると久保先生から教えて頂きました。
支援・指導する私たちは、子どもの特性を「理解」し、子育てを「支援する」ことが大切であることを学びました。

10月「自閉症児への支援・指導① ~知的に遅れの目立つ子~」

今回の講座より、「自閉症児への支援・指導」にテーマが変わり、今回は自閉症児の中でも知的に遅れの目立つ子どもへの基本的な支援や指導の視点について学びました。
昨年は「自閉症の背後にあるもの」という講座の中で“自閉症”の基本的な部分については学んできましたが、実際私たちが支援・指導している子どもたちによくみられる特性のことも含めて、より分かりやすく学ぶことが出来ました。
自閉症の最大特性は人間関係の“構築の難しさ”とともに“学習能力”の障害であると言われています。また、彼らの基底にある障害、“企画・企図障害”“言葉の問題”“見ることの障害”“行為・行動の障害”の4つの困難さをどのように理解し、対応の在り方を検討していくかが重要なポイントであり、目の前にいる彼らとどのように付き合うかが、私たちの役割であると思いました。その中で、私たちは子どもの“障害特性と能力に合わせて”付き合い方を考えること、そして諦めないこと、根気強く教えることが大切であるということを学びました。

9月「勉強の出来ない子どもへの支援・指導②狭義の学習障害」

今回の講座では、7月に学んだ広義の『学習障害』の言葉が表わす状態像には当てはまらない狭義の『学習障害』、つまり『特異的な学習障害』がある子どもたちへの理解、基本的な支援や指導の視点について学びました。
一般的な広義の『学習障害』ではなく、『特異的な学習障害(狭義の学習障害)』は、教科学習だけに困難さが表れるものではなく、“生活全般”に困難さが表れることを多くの事例を通して学びました。表面化して見えてくる学習や行動上の問題の背後にあるものを、支援・指導する私たちが考え、方法を実行することの大切さを学びました。
日頃、支援・指導している私たちは、目の前にいる子どもが見せる“問題”行動のみに指導・支援がいきがちであることを、事例を通して考えることが出来ました。現実として、学習だけではなく、行動や生活全般に困難さがあり、本人では“どうにもならない”世界で、苦労や努力をしていることを認識し、子どもたちと向き合う大切さが必要であることを学びました。

7月「勉強の出来ない子どもへの支援・指導①広義の学習障害」

今回の講座では、一般的に使われている『学習障害』の言葉が表わす子どもの状態像をよく理解した上で、広義の『学習障害』がある子どもたちへの支援・指導の基本的な視点を学びました。
子どもの状態像を、きちんと理解することは、学習面を含め、子どもに無理な負荷をかけすぎる危険性を回避することが出来る、これは今までの講座を通して、久保先生が一貫して話されていることです。支援・指導する側の私たちは、子どもたちを理解した上で、意識することなく行うちょっとした声かけや分かりやすい説明、教材教具の工夫を行うことの大切さを学びました。また、習得までに時間がかかることが、広義の「学習障害」の特性である一方で、私たちが根気強く付き合うことで、学習面での目標達成が出来る、具体的な支援・指導を着実に行うこと、それが広義の「学習障害」の子どもたちの力を支え、伸ばしてくことが出来るということを学びました。

6月「多動児の発達における長期展望とその支援・指導②中・高学年以降」

この講座では、久保先生の多くの臨床経験からの事例をもとに、小学校3年生から大人になっていく心理的過程を通して、子どもの成長を見守ることの大切さをご指導して頂きました。
私たちは目の前にいる子どもと一緒にいる時間だけに注目しがちであるのではないかと痛感しました。子どもの成長は、今という点ではなく、続くという線であること、子どもの豊かな将来の生活を想像し、今を支援・指導していくことが大切であると思いました。
子どもと対峙する時には、「形」ではなく「心情」で向き合うことの大切さ、という言葉を久保先生が言われていました。人の気持ちを育てるのは、人の心情である・・・ということだと思います。そんな言葉の意味を深く感じながら子どもの成長を見守っていけたらと思っています。

5月「多動児の発達における長期展望とその支援・指導①小学校低学年まで」

この講座では、久保先生の多くの臨床経験や知識に裏付けされた支援・指導方法を具体的にご指導頂きました。
久保先生は、診断名や障害名で子どもの具体的な姿を説明できない、支援と指導の具体的な場面では、子どもたちが一人ひとり違うことを前提として「目の前にいる」子を中心に考えたほうが、より効率的で妥当な実践を生み出す。そして、「楽なこと」は子どもの中に「余裕」を生み出し、今までにないものを取り込みさせる「チャンス」と捉える必要がある。つまり、「マイナス」を「プラス」にする思考が大切と、お話して下さいました。 毎日、私たちが向き合っている子どもたちの姿を思い浮かべながら、久保先生の言葉一つ一つを聞いていると、子どもの一生懸命さに私たちが支えられていることに気が付かされます。 子どもの「育つ力」を信じること、それが私たちにできることなのではないでしょうか。

4月「発達障害がある子どもへの具体的な支援・指導の意味」

この講座では、子どもたちを支援・指導する意味や、また支援・指導者が基本的に持つべき態度を、サリバンの手記である「ヘレンケラーはどう教育されたか」を通してご指導頂きました。
サリバンの言葉・・・
『決められた時間より、折にふれて彼女にものを教えるほうがずっと容易なことを知っていますので』
この言葉の意味を久保先生は、“子どもたちに特別なことをするのではなく、日常生活の中で支援・指導を行うこと”が重要であると言われていました。
また、TEACCHで有名なショプラーの妻であり共同研究者のランシングの言葉をかりると、「子どもに対する愛があればできる」ということが支援・指導者の根本的な想いであると思います。その中で私たちには、子ども一人ひとりを具体的によく「見る」ことができ、さらに「何をどうなっているか」を自分で考え、「どうしたらよいか」に思いを巡らし、さらに「どうする」を考える能力、つまり「観察」「分析」「仮説の構築」「実践」ができることが求められていると強く感じました。

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